生き残る手段は「業務調整」
安定した雇用に就いている場合、適性が合わなかったとしても、続けるべきだと私は主張しています。自閉的特性が強い私自身、うつ病になるほど事務職に向いていません。事務に限らず、営業職であろうとエンジニア職であろうと、正規雇用であれば多くの職種で適性が合わないと思っています。
特に自閉的傾向の強い人が、正規雇用における業務の適性を自分に合わせるためには、「業務調整」に尽きると考えます。もちろん、「仕事がうまくいかないので業務調整をしてほしい」と職場へお願いしたところで、受け入れてもらえないことは言うまでもないでしょう。よって業務調整を行うには、職場へ対して上手に交渉する必要があるのです。主治医の診断・産業医の意見・上司や同僚のサポートなど、使えるものは全て使って交渉しましょう。次のプランを提唱します。
生き残りのプラン
- 適性が合わず、業務を円滑に進めることができない状態になる
- 上司や同僚から「仕事ができない人だ」というレッテルを貼られる
- 「1」,「2」の状態の中でも、自分の担務へ献身的に取り組む
- 半年~1年ほど経過した後、医師により休職の診断書を書いてもらい、休職する
- 最低3カ月以上は休職し、医師に復職の診断書を書いてもらい復職する(通院・投薬は継続する)
- 繰り返し上司と面談を行い、業務調整を図る
※うつ・適応障害になることを推奨している訳ではありません。
プランの解説
極度に適性が合わない仕事を続けていれば、遅かれ早かれ体調を崩すことになるでしょう。体調を崩さなければ、そもそも業務調整など必要ないと思います。医師による診断書によって休職すると、復職後に上司と面談を繰り返すことになると思います。その面談で、業務調整を促します。何もなく業務調整を依頼しても意見が通らないことが多いと思いますが、適応障害・うつ病などで休職した場合、職場の方から業務調整しようと動いてくれる可能性が高くなります。もし調整がなければ、また体調を崩すことになりかねませんが、そのときはまた休職を繰り返せば良いだけです。休職中の生活費について心配することはありません。勤め先によっては休職中も給与が出る場合がありますし、給与がでない場合は健康保険や共済組合から傷病手当金が給付されます。
1と2は、適性が合わない仕事をしていると必然的に起こる事象ですので省略します。仕事ができないタイプの人は、上司や先輩から叱責を受けることが多いと思います。その中でも、絶対に反抗的な気持ちをもつことなく、献身的に働いてください。
3…仕事に対して一生懸命取り組むこともせずに、「業務が苦手から調整が必要だ」とはなりません。自分に向いていない仕事であったとしても、全力で取り組む姿勢は崩さないでください。特に、自閉的特性の強い人が一般的な就業を継続するには、上司や同僚のサポートが重要となってきます。やる気がない人に対して、周囲は助けようと思いませんので、手を抜いてはいけません。なお、「仕事ができない人だ」というレッテルを貼られながらも献身的に業務へ取り組む姿は、周囲の心を動かすことにもつながります。マイナスな印象にはならないので、頑張りましょう。
4…適性が合わないまま仕事を続けていれば、上司からの叱責なども増え、いずれ適応障害やうつ病になるはずです。半年以上を目安に継続して仕事を継続した上で、どうしても苦しいと感じたタイミングで診察を受けに行ってください。その際、「心が辛いです」などといった精神的症状を伝えるだけでは休職の診断書が下りる可能性は低いため、「睡眠が取れない」「味がわからない」「食事が取れない」などといった身体的症状を伝えてください。上司に電話で経緯を伝え、診断書が下りた当日以降は出勤しないでください。医師が書いた休職の診断書を職場へ提出すれば、職場は自分を休ませる義務が生じるため、躊躇することなく休んで良いです。
5…最低でも3カ月は休養した方がよいと思いますが、仕事をしていた期間より休んでいた期間の方が長いと、周囲からの印象は良いものとならなりません。医師の判断にもよりますが半年以内には復職した方が良いでしょう。ただし復職後も通院は継続するべきです。
6…職場から業務の調整をしてもらいます。流れについては、次に示します。
業務調整の流れについて
職場の意向や上司の人柄しだいではありますが、復職後は業務量の調整や適性について考えてくれるはずです。上司を信頼して指示通りに業務に取り組んでください。そして、繰り返し面談を行う上で、「どの業務に対して精神的な負担がかかるか」「どんな業務なら負担が少ないか」というヒアリングを受けることになると思います。その際、具体的で限定的なタスクにおいて、精神的・身体的な状況を伝えましょう。
たとえば「コミュニケーションを取ることが上手くいかないです」では伝え方が悪いです。コミュニケーションは仕事をする上でどんな状況でも起こりますので、対処法がありません。良い伝え方の例は下記のとおりです。
A.「電話応対をしているときに全身から汗が出ます」
B.「業務に集中している際、いろいろな人から話しかけられると頭痛がします」
C.「書類の審査をするときは、安心感をもって取り組めます」
Aのような「電話応対」という具体的なタスクについて伝えた場合、電話を取る頻度を減らしてもらえる可能性があります。「辛い」という精神的な表現より「汗が出る」などといった身体的症状を伝えた方が、さらに配慮を考えてくれると思います。また、Bについて伝えた場合、複数の人と調整を行う担務に割り当てないようにしてもらうという対処法が存在します。これも「頭痛」といった身体的症状がポイントだと思います。Cについては、書類審査の担当を継続的に割り当ててもらえる可能性があります。このように、具体的なタスクや作業について、「体から汗が出た」「安心して取り組めた」などという事実を上司へ伝えてください。
このとき、間違っても業務の適性について主張しないでください。「コミュニケーションが少ない業務に向いてます」などと上司へ話した場合、上司の立場からしたら「だったらコミュニケーションが少ない仕事に転職すればいいのに…」と思ってしまいます。また、自分の担当になったことがない業務について評価することや、部署異動について自ら主張することもご法度です。「書類審査に担当を移してもらえれば、きちんとできると思います」などという発言や、「他の部署なら自分にも適性があると思います」などという発言が悪い例になります。そういった担務の割り当てや部署異動は、上司が判断することであり、自分が意見することではありません。勝手な主張を行うことは印象を悪くする恐れがあるので、自分がどうしたいかを伝えない方が良いでしょう。あくまでも精神的・身体的症状を伝えるだけにとどめ、「どうしたら解決できそうか」については上司が提案してくれるまで待ちましょう。業務調整が適切に行わなければ、また体調を崩すことになると思いますが、そのときは休職を繰り返せば良いだけです。
また、職場内で自分に適性のある業務が揃っていることはまずないため、業務調整にも限度があるということを念頭に置いてください。ですから、自己主張によって職場環境や業務内容の改善を変えようとするのではなく、職場と自分、お互いの歩み寄りが必要なのです。職場が歩み寄ってくれないのであれば、無理に自己主張せず、他の仕事を探すべきでしょう。歩み寄って業務を調整しようと試みてもらえるのであれば、職場や上司へ感謝の気持ちをもって、可能な限り、上司や職場の期待に応えてください。
発達障害を職場に伝えるべきか
この記事は、職場の業務に著しく適性が合わない方に向けており、自閉スペクトラム症の方に限定して向けて書いたわけではありません。しかし、ブログのメインテーマである自閉スペクトラム等の発達障害についても言及しておきます。まず、休職中に発達障害について診断を受ける必要はないと思います。加えて、自閉スペクトラム等を理由に業務調整を上司に依頼することは、避けた方が望ましいです。ただし、障害者手帳が交付されるレベルで支障があるのであれば、手帳を取った上で上司へ報告するべきでしょう。詳しい解説は別の記事にありますので、参考にしてください。
まとめ
- 職場で生き残るためには、業務調整が必要
- 業務調整に応じてもらうためには、上手に職場と交渉すべき
- プランに沿って、職場の方から業務調整をしたくなるように促す

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